キャノンボール六甲体験記②進め、カルガモ一家!

馬の背 絶景 キャノンボールラン 1人でトレラン体験記
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前回(第1話)のお話はこちらから
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神戸の絶景・馬の背~鵯越駅 ハイテンションの序盤戦!

岩場の道を進んで行くと視界が開けて、細くうねりのある岩の道が空に浮かぶように続いていた。先を行く人達が両手を広げバランスを取りながら進んで行く。眼下には神戸の街並みが広がる。なかなかの強風が吹いており、風に煽られたら山裾に広がる住宅街に飛び込んでしまいそうだ。

馬の背 六甲 キャノンボール
六甲山は岩の山。剥き出しの岩肌がワイルド!テンション上がります!

「絶景ですね!こんな場所があるんだ~!」「馬の背は有名な景勝地ですよ」と鉄平師匠。須磨アルプスと呼ばれるこのエリアは、花崗岩が露出した岩場が続き独特の雰囲気を醸し出している。異世界感溢れる天空の岩場の下に人間の営みを感じる街並みが広がり、「ここはどこ?私はだれ?」と不思議な感覚に陥る

「すごーい!うお~落ちそう!風が~~!」と叫びながら写真撮影に興じる。キャノンボール始まってまだ5キロ経過していないがテンションマックス。はしゃぎ過ぎてエネルギーを使うとあと40キロ持たなくなりそう。

馬の背 六甲 絶景ポイント
きゃー!!楽しすぎるー!!地球に生まれてきてよかったなぁ

馬の背でアゲアゲになった気持ちに押されるように横尾山を登って下りて、また市街地に出た。高取山を右に見ながら街の中を走ることになる。ここから約5キロ、鵯越(ひよどりごえ)駅まではロードランだ。

「ロードも急な登り坂は歩きますが、ゆるい坂はゆっくり走りましょう」と鉄平師匠。道のりはまだまだ長く、一定のスピードを保ちつつ体力も残さなければいけない。初心者を率いるには、全体を俯瞰して眺めつつ個々の走力を見極めてペースを作らねばならないだろう。「ゆるい登りも歩くより走ったほうが、接地時間が短くなって案外楽ですよ」とのこと。

鉄平さんの足元を見ると確かに軽やかで楽チンそう。真似して走ってみるが私はなんだかドタバタ感があるし足音も大きい。「着地を優しくする意識で走ってみてください」とアドバイスをもらいながらロードを進んで行く。足元に集中して一列で進む山の中と違い、ロードはワヤワヤと会話しながら走ることができる。

チーム鉄平最年少メルモちゃん(仮名)と並んで話しながら走る。「メルモちゃんはなんでトレランを始めたんですか?」「登山が好きで、登っているうちに走ってみたいなと思うようになって。トレランしている人とよくすれ違ってたんですよ」「おお!私も全く同じ動機で始めました!」と盛り上がる。トレランをはじめたきっかけを聞いてみると、ロードランからトレランの人、登山からトレランの人、入口は大きく2つのようだ。私と同年代のバンビさんとアラレさんはロードラン歴が長いようで、二人でフルマラソンの話をしているのが聞こえてくる。

私より一回り以上は上とみられるミーさんとケイさん(仮名)は、お2人で六甲全山縦走路を歩いた経験があるとのことなので、山から派だろうか。手にはポールを持っており山の装備はバッチリのようだ。さまざまなバックグラウンドを持つ人たちが山に引き寄せられて、こうして一緒に走っている。今を共にできるご縁に感謝。

途中コンビニに立ち寄り、各自飲み物を買ってトイレを済ませる。コンビニはキャノンボーラーで溢れている。グループで走っている人たちも多く、談笑したり、久しぶり!なんて声を掛け合う姿も。ロードランに比べてまだマイナーなトレラン、こうして大会で顔を合わせるうちに仲間が増えていくのだろう。

「疲労感を軽減」というコピーに惹かれて買った黒酢ドリンクをぐびぐび飲み干したらすぐに出発だ。この日は快晴、最高気温25℃。喉が渇いて持っている水分がみるみる減っていく。特にロードは太陽の照り返しがきつく、山より暑く感じてつい水に手が伸びる。

黒酢ドリンク 休憩時間
コンビニの中も外もトレイルランナーだらけ。黒酢で活力注入!

鵯越駅に着くころには、ボトルの水が残り3分の1ほどになっていた。駅前にいくつか自動販売機があるのを見つけ水を買いに走るが、水、お茶、炭酸水、スポーツドリンク、アイスコーヒーまで売り切れだ。ガビーン。手前のコンビニで水も買っておけばよかった。目ぼしいものはないけれど、何か補充しておいたほうがいいだろう。残っていた「なっちゃんりんご味280ml」を買う。普段甘いジュースは飲まないけれど、こんなに走りまくる日は糖分多めでもいいね。この地点でスタートから10キロと少し。まだまだ!

菊水山~鍋蓋山 気付けば5山目、無心で進もう!

鵯越駅を過ぎて、菊水山を目指す。登りに入る手前に人だかりが出来ている。エイドがあるようだ。麺をすすっている人、ぐびぐびビールを飲みほしている人、日本酒まで振舞われている。ビールも日本酒も好きだけど、初心者よしぞうは下山後のお楽しみにとっておきます。

エイド 人だかり
エイドに立ち寄るのも楽しみ。露店に人が集う様子はお祭りそのもの♪
エイド ビール
ビールを楽しむランナーも

舗装路が続き、速足でテクテク登っていく。途中つり橋を渡り、はしゃぎながら眼下の景色を楽しむ。山頂へ向かう登りに入ると急な階段と岩場が続いて登り応えがある。ふーふー言いながら鉄平塾で習った登りテクニックを使いモリモリ登っていくと、前方に自転車を担いで登っているお兄さんを発見。

背中には「キャノンイーツ」と書かれた大きなリュックを背負っている。宝塚まで自転車でピザを届けるのが使命だそうだ。キャノンボールランはエンジン以外なんでもOKのレースだが、自転車がアドバンテージになるのはロードのみ。山道は自転車を担いで上り下りせねばならない。ハードすぎだろう!

階段上り 自転車を担いで登るお兄さん
普通に登るだけでもひーひーな登りの階段を自転車を担いで登るお兄さん。ロードの下りを目いっぱい楽しんでください!!

登りの山道ではケイさんが遅れがちになり、しばし待つ時間ができるので休むことができた。ケイさんが到着するとほどなくして出発するため、ケイさんはあまり休む時間がない。制限時間11時間以内にゴールを目指すという目標を掲げたこのツアー、最後尾のペースに合わせ過ぎると間に合わなくなるだろう。鉄平師匠は時計と手もとのメモを確認しながらペースを調整しているようだ。

「足の調子はいかがですか?しんどくないですか?」とケイさんに話しかける。「全然大丈夫!お待たせしてごめんさないね」と朗らかな笑顔には余裕がある。登りのペースはゆっくりだが、下りやロードでは遅れていないし、体力気力ともに問題無さそうだ。私の母親よりは年下だが、母親と言ってもおかしくない年代のケイさん。山ではこんなイキイキとして魅力的な年上女性とご一緒することも多く、遠からずやってくる更年期、壮年期、老年期を明るく照らしてくれる。

40歳を過ぎてから運動らしい運動をはじめて、もっと早くトレランに出会っていたら良かったのにと思ったものだが、10年20年後もこんなふうに挑戦して山を走り続けていられるならば、楽しい時間はまだまだ長い!

1つの山を登るだけなら登頂後は下って終わりとなるが、縦走ではそうはいかず登っては下りまた登って下って…の繰り返し。はじめての道でなおかつ方向音痴の私は自分の現在地がさっぱりつかめない。今回は特に自分で地図を見ず鉄平師匠にカルガモの赤ちゃんのようにひっついていくので、訳が分からなくなってくる。「ここはどこですか?」と何度も聞いてしまう自分が無能に思えるが今回はこれでいいのだ。とにかく無事ゴールできればそれで100点としよう!

コガモと化して無心で親ガモについていくと鍋蓋山山頂に着いた。鉄平師匠の後を一列に整列して付いて行く6人のチームは、本当にカルガモ一家のようだ。姉妹たちよ、頑張ろうね!と勝手に親近感を深める。

山頂からは神戸の海、街並みの景色がきれいに見えるが、ここまで通過してきた山々でも同じ景色を数回見ている。何回やっとんねん!と宮川大輔さんにツッコまれそう。けれど、同じ景色を何度見ても「ふぁ~!」と感嘆の声が出る。やはり自分の足で登った後に出会う景色はそのたびに見え方も心の動きも違うのだ。

はっと思い立ち、親ガモに「一緒に写真撮りましょう!」と山頂での記念撮影を求めてみる。コガモは置いて行かれたら命取りになるので、ついていくことに必死でここまで山頂の標識など気にしていなかった。気づけばここは5山目のようだ。

5山目にして気づいた山頂標識。TMレボリューションのポーズでパチリ(分かるあなたは同年代!)

次回、「キャノンボール六甲体験記カオスな一期一会」へ続く

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